扶養控除って海外に住む親族にも適用できるの?

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コラム

扶養控除って海外に住む親族にも適用できるの?

扶養控除とは

所得税の計算をするにあたり、納税者に控除対象扶養親族がいる場合には、一人当たり38万円(特定扶養親族は63万円、老人扶養親族は48or58万円)の所得控除を確定申告又は年末調整時に受けることができます。

つまり、控除対象扶養親族が複数いる場合には、38万円×人数分の所得控除を受けることができます。また、人数に上限がないため、所得控除額にも上限は設けられていません。
そのため、控除対象扶養親族の対象者には厳しい要件が課せられています。

(1) 配偶者以外の親族又は都道府県知事から養育を委託された児童や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の専従者でないこと。
(5) 年齢が16歳以上
以上のすべての要件を満たすと控除対象扶養親族となります。

扶養控除を受けるためには

サラリーマン(年末調整)と個人事業主(確定申告)で記載する書類が変わってきます。

サラリーマン

サラリーマンの方は、会社へ入社時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。この書類で控除対象扶養親族の氏名、フリガナ、個人番号、続柄、生年月日、住所、所得の見込額等を記載すれば、この情報に基づいて会社が扶養控除を反映させて年末調整をします。

個人事業主

個人事業主の方は、確定申告時に確定申告書第二表で控除対象扶養親族の氏名、続柄、生年月日、個人番号を記載し、扶養控除額を算定して、申告をします。

海外に住む親族はどうするの?

海外に居住している親族についても、上記とまったく同じ取り扱いになります。
つまり、控除対象扶養親族の5要件を満たし、上記の手続きを踏めば、扶養控除を受けることができます

ただし、海外に住む親族に扶養控除を適用する場合には、上記の書類のほかに、「親族関係書類」と「送金関係書類」の添付が追加で必要となります。

この背景としては、国外居住の扶養親族を把握することが困難であることから、それを悪用して扶養控除を利用した者がいたからではないかと考えられます。すでに記載した通り、扶養控除には上限がありません。つまり10人の控除対象扶養親族がいれば380万円の扶養控除を受けることができます。現実的な数字ではありませんが、ものすごい所得控除金額となります。

国外居住の扶養親族について、まじめに申告をしている方のほうが多いと思いますが、事業者がちゃんと確認をすることができずに処理をせざるを得ないケースも多々あったのだと思います。
書類を準備しなければ、扶養控除を受けることができませんので、できるだけ早めに動いて対応することが望まれます。日本人の感覚だと簡単にこれらの証明書を集めることができると思い込みがちですが、海外とのやりとりというだけで、明らかに時間がかかると思います。

子供が留学した場合にも書類は必要となるのか?

子供に英語を勉強させたいと海外へ留学させたいと思っている親御さんは多数いらっしゃると思います。

子供が留学し、海外に居住している場合にも、「親族関係書類」や「送金関係書類」は必要となってしまうのでしょうか。

原則として留学が継続して1年以上海外に居住するものでなければ、国外居住親族にあたらず、書類は必要ではありません。

継続して長期間海外に留学するケースでは必要となってきます。

 

「親族関係書類」とは?

「親族関係書類」とは、国外居住の親族が居住者の親族であることを示す書類をいいます。前述の控除対象扶養親族の要件を満たしているかを確認するために、公的な書類を要求しています。

戸籍の附票の写し、国又は地方公共団体が発行した書類、パスポートの写し、外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類などです。具体的には戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書などが考えられますが、国によっては戸籍制度がないなど書類を集めるのは難しいかもしれません。

たとえば、本人の父母である場合には、本人の出生証明書で足ります。しかし、祖父母の場合は、父母の出生証明書も必要となります。
これが配偶者の父母となると、本人との婚姻証明書に配偶者の出生証明書を組み合わせる必要があります。
さらに、これらの書類から氏名、生年月日、住所を明らかにする必要があるため、すべての情報が記載されていない書類の場合は、複数を組み合わせて準備をする必要があります。

「送金関係書類」とは?

「送金関係書類」とは、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、確認人行ったことを明らかにするものをいいます。
これも前述の控除対象扶養親族の要件である生計を一にしているかを確認するために、公的な書類を要求しています。

具体的には金融機関の送金書類やクレジットカード会社の利用明細(家族カードを親族に渡し、その代金を居住者が支払)等があります。金融機関やクレジットカード会社からの書類を要求されているため、現金を国外居住者のもとに手渡し、領収書をもらうなどは認められません。
国によっては銀行へ送金する習慣がないようなところもあるでしょうが、必ず送金なりクレジットカードを利用するなり、生活費を渡している形跡が残るようにしてください。

また、扶養控除となる方それぞれに必要ですので、国外に居住する両親を二人とも対象とする場合には、それぞれに送金をしたことが分かる書類が必要になります。