法人税を安くできる繰越欠損金!その注意点を解説

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コラム

法人税を安くできる繰越欠損金!その注意点を解説

繰越欠損金について

税制上における繰越欠損金を利用することで、法人税の負担を抑えることが可能になります。繰越欠損金とは、次年度に繰り越す欠損金であり、欠損金とは財務上の赤字のこと。事業で上げた利益である益金よりも、事業にかかる費用である損金が上回った状態です。

確定申告を行う年に赤字であった場合、青色申告を行っていればその赤字を次年度以降に繰り越すことができます。そして次年度で黒字が出れば、繰り越した赤字と相殺されるのです。つまり、次年度に出した黒字から当年度の赤字分を控除する形となります。この仕組みを欠損金の繰越控除と言います。欠損金を黒字から控除した分、法人税の課税所得額を抑えることになり、結果的に節税できるわけです。

繰越欠損金を適用するには

繰越欠損金の適用を受けるためには、いくつかの条件が必要となります。

・青色申告を行っている法人
・欠損金が、過去にさかのぼって10期以内の事業年度で発生したものである
・事業年度ごとに決算書の提出がある
・金額の動きを記した帳簿を保存している
・連続して確定申告を行っている

繰越欠損金は、上記の条件を満たしていることを前提に、一番古い事業年度の欠損金から算入していきます。例えば、複数年間赤字が続き、繰越欠損金を計上している場合は、黒字となった分は古い順に控除され、申告書に記載される欠損金の合計額は常に新しく発生したものの累計となります。ちなみに申告書の別表においても、発生年度別に記載する方式がとられています。

なお、個人事業主は法人と異なり、損失の繰越できる年数が3年となっています。この点からも法人が個人より優遇されていることが分かります。

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繰越欠損金のメリット

繰越欠損金が適用されることで、黒字が出た事業年度の所得から欠損金を控除することができ、課税所得額を減らせることになります。これにより、黒字が出た事業年度の法人税を安く済ませられるのが大きなメリットです。例えば、ある事業年度に100の黒字が出たとすると、本来は100に対しての法人税が発生します。しかし、その前の事業年度に-30の赤字が出ていたとしたら、その赤字分が黒字分から控除され、法人税の課税対象は70のみとなるわけです。

ただし、大企業の場合は繰越控除額に上限が設けられており、平成29年4月1日以降の事業年度においては、繰越控除額は所得金額の50%のみとなります。

繰越欠損金のある会社を買収したら?

繰越欠損金の税金に与える影響はご理解していただけたと思いますが、ここで悪知恵の働く人は、他社の繰越欠損金を利用して自社の課税所得を減らすことができないだろうかと考えるかもしれません。

例えば、
A社の課税所得が100として、法人税率35%とすると、納税額は35となります。
B社という繰越欠損金が100の会社があるとします。
A社としてはB社の繰越欠損金を全部利用できれば、所得金額100-繰越欠損金100=課税所得ゼロとなり、納税額もゼロとすることができます。
そこでA社はB社を合併して繰越欠損金を取り込もうとするでしょう。

項目 A社 A社+B社
所得金額 100 100
繰越欠損金 0 100
課税所得 100 0
法人税 35 0
税引後利益 65 10

しかし、そんなに甘い話は世の中にはありません。このような租税回避行動を国が簡単に認めるはずがありません。

それでは、繰越欠損金の引継ぎは全くできないかというとそうではありません。
合併などの組織再編にかかる繰越欠損金の引継ぎには厳格な要件が定められており、一定の要件を満たすと繰越欠損金を利用することができます。

原則として適格合併に該当することが大前提になります。
さらに従業員の引き継ぎ、事業継続、事業関連性等さまざまな要件を照らし合わせて、繰越欠損金が引き継げるかの判断をします。
つまり、租税回避目的の合併などは要件を満たすことが難しく、買収した会社の事業を活用して拡大を図るという本来の目的に合致する場合には繰越欠損金の引継ぎがしやすくなっています。

繰越欠損金の引継ぎの判断は専門家によっても判断の分かれるところでもありますので、買収先の繰越欠損金の引継ぎを検討している場合には、是非ご相談ください。