内部留保ってなに?法人税との関係は?

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内部留保ってなに?法人税との関係は?

内部留保の定義とは

会社の財務において大きな利益を出した場合は、そこから運営にかかる経費や株主への配当金、さらに法人税などの各種税金を支払っても金額が余ることが出てくるでしょう。この純粋に余った金額を会社に留保することを内部留保と呼びます。

経費や税金、役員報酬などで出ていくお金を差し引いた後の金額ですから、内部留保の金額は利益剰余金とも呼ばれています。

利益剰余金は、将来的な損失や支出に備えるための利益準備金、任意積立金、そして繰越利益剰余金を合わせたものです。

利益準備金は配当金として社外流出した金額に応じて積み立てることが会社法により定められています。配当を行った場合は、支払った金額の10分の1を利益準備金として積み立てる必要があります。

なお、利益準備金の積み立て金額には上限があり、資本準備金と利益準備金を合計した額が資本金の4分の1以上であれば、それ以上積み立てる必要はありません。

また、任意積立金は内部留保を目的として、自主的に積み立てる積立金です。使用目的別に分けられ、目的を決めて積み充てるのを「目的積立金」、目的を持たないものを「別途積立金」と言います。

目的積立金としては、配当に備える配当平均積立金や災害に備える災害損失積立金、さらには租税特別措置法上の積立金も含まれます。

これら積立金は、株主総会の決議によって積み立てを行いますが、取崩については、目的に沿った取崩の場合は株主総会決議が不要となり、目的外の取り崩しの場合は株主総会決議が必要になります。

内部留保(利益剰余金)はキャッシュとして残るわけではない

必要な支出をすべて行った後に残る金額が内部留保ですから、感覚としてその金額は会社にキャッシュとして残ると思いがちです。しかし、実際はその限りではないのです。

内部留保を利益剰余金として考えるとき、その金額は会社の資産の一部となります。その会社が事業のための設備投資や仕入れなどを行っていないとしたら、もちろん手元にキャッシュが残ることになりますが、実際にはそうではありません。

事業展開のために土地や建物を購入したり商品を製造・販売するための材料を仕入れたり、他の会社の株式を購入して資産運用を行ったりなど、事業に必要なさまざまなことに金額を投じているはずです。そのため、利益剰余金と手元に残るキャッシュの金額が必ずしも同額とは限らないのです。

貸借対照表をみるとどういうことかご理解いただけると思います。

 

現預金 50 流動負債 80
棚卸資産 50 固定負債 120
固定資産 200 資本金 100
投資その他の資産 100 利益剰余金 100
総資産 400 負債資本計 400

 

利益剰余金が100あるのに現預金が50しかないという貸借対照表です。
複式簿記ですので、貸方に計上されていれば、必ず借方に相手勘定が存在します。この会社も利益剰余金を計上した当初は相手方に現預金があったのかもしれません。

しかし、企業は常に利益を生み出すために新規の投資をしていきます。その過程として現預金がほかの資産に変わっていることが通常のため、現預金で内部留保分をそのまま保有している会社は少ないと思われます。

この会社の場合も儲けたお金を、棚卸資産として商品を購入したか、固定資産として機械購入の一部に充てたか、またはオフィスの敷金として投資その他の資産に計上されたか、何かしら次の儲けのための資産に成り代わっていると考えられます。

このように内部留保=現預金とはならず、内部留保が厚いから資金繰りに余裕があるということにはなりませんので、注意が必要です。

内部留保と法人税について

内部留保は、法人税などの支出をすべて支払った後に残る金額のことですから、基本的に内部留保に課税されることはありません。

ただし、特定の条件を満たす株主の持株割合が50%を超える特定同族会社の場合は、同族内で配当金を支払わないなどの方法で不当な内部留保を行う可能性があります。

そのため、特定同族会社に関してのみ、内部留保に留保金課税が義務付けられているのです。また、日本においては、各企業が資金投資を行わず内部留保を溜め込んでいるとする声もあり、何らかの課税を求める専門家も存在しています。

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