法人税が安くなる?減資を行うメリットとデメリット

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法人税が安くなる?減資を行うメリットとデメリット

減資とは何か

会社の欠損金が膨れ上がり、資金繰りが難しくなった場合に、資本金を減額してその減らした額を準備金に回すことで、欠損金を整理して財務状況を改善する方法があります。これを減資といい、将来的な資金繰りを上向かせる効果が期待できます。

実際に大企業が経営難に陥り、欠損金を精算するために資本金を大幅に減資して中小企業になったというケースもあります。欠損金の精算だけではなく、中小企業として法人税の軽減税率などを受けられることで会社の立て直しを図ったのです。

減資には有償減資と無償減資という方法があります。

有償減資

有償減資とは、株主に出資金額を払い戻すことにより資本金を減少させる方法です。

中小企業ではあまり活用する場面はないかもしれませんが、配当などのかわりに有償減資することで、既存株主の資産価値をあげて利益還元する場合などに利用します。自己株式を取得し償却することも有償減資と同じ結果となります。

有償減資では、出資金を払い戻しにより、金銭対価を支払っていることから、税務上も会計上も資本金が減少します。

無償減資

無償減資とは、繰越利益剰余金がマイナスである場合に欠損補てんをするために、資本金勘定を減少させる方法です。

この場合には株主に対して金銭の支払いはありません。つまり帳簿上だけの処理となります。そのため、会計上は資本金が減少しますが、税務上の資本金は減少しません。

減資するときの注意点とは

無償減資を行うことで欠損金を精算し、会社の財務状況を立て直すことが可能になりますが、注意すべき点もあります。減資を行うということは、取引先や金融機関から業績が思わしくないという判断を受けることにもなってしまいます。

その結果、信用を得られにくくなってしまうことは考慮すべきでしょう。また、出資を行っている株主にも同様の影響が出ることは否めません。そのため、減資を行うときには、信頼できる税理士など税務のプロに相談することをおすすめします。

減資のメリット・デメリット

減資を行うことで得られるメリットやデメリットは、以下のようなものです。

メリット

生じてしまった欠損金について、減資を行って資本金を準備金に回すことで、相殺して精算を行うことが可能になります。これは資金繰りが苦しくなった会社にとっては大きなメリットでしょう。

また、税制上では減資によって資本金を1億円以下とした場合、中小企業とみなされるため、中小企業の軽減税率が適用されます。さらに、法人事業税については、赤字が出ている会社の資本金などに課せられる外形標準課税の対象外となります。法人住民税に関しても、資本金によって算出される均等割の金額を抑えることになり、法人税割については超過税率を免除されるのです。

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皆さんがよくご存じの吉本興業では、無償減資を行い資本金を1億円にしました。
吉本興業は平成27年3月末時点で利益剰余金が約マイナス140億円となっており、財務体質改善のため資本金約124億円を取崩し、資本準備金として処理をしました。
その結果資本金が約125億円から1億円となりました。
資本金は1億円以下ですので、外形標準課税の対象とならず、さらには中小企業の税務上の優遇措置を受けることができるようになりました。
外形標準課税の資本割の税率は0.525%ですので、単純に資本金等の額が125億円と仮定すると、6562万円の課税となり、減資による効果がいかに大きいかがお分かりになると思います。

デメリット

前述の注意点で述べたとおり、取引先や金融機関への影響が大きくなります。債権者にとっては利益をもたらさなくなるためです。さらに、減資のためには官報への公告や株主、取引先への通知などの債権者保護手続きも怠らないようにしなければなりません。
その作業の手間が煩雑であることはデメリットといえるでしょう。