法人税率はこれからどうなっていく?

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コラム

法人税率はこれからどうなっていく?

法人税の実効税率は縮小の動きに

法人がその事業年度の所得に応じて納める必要がある法人税ですが、平成24年に大幅な改正が行われました。この改正により、法人税の基本税率は引き下げられ、実質的な法人実効税率も大幅に縮小されたのです。

そして平成28年度には、基本税率が23.4%、法人実効税率も29.97%となり、平成30年度以降は、基本税率23.20%、法人実行税率29.74%となっています。
特に法人実効税率に関して、20%台に引き下げることが政府の目標となっていましたから、それが実現した形となります。

諸外国では法人税の実効税率は軒並み20%台が多く、税制改正前の日本の実効税率が30%台であったことを考えると諸外国より高めでした。実効税率を諸外国と同様に引き下げることで、大きな経済効果を狙っているのです。

基本税率の引き下げがされましたが、中小法人の軽減税率については、年800万円以下の金額について平成29年度以降19%と平成28年度までの15%から引き上げられています。

税制改正による経済効果

法人税率が縮小されることによりどのような経済効果が期待されているかというと、企業の事業展開が活発になり、諸外国との競争に参加できる力をもたらすことがあります。

法人税減少額だけ、企業に資金が留保されることになるため、その資金を利用して、新たな投資を行うことが期待されています。

これにより経済が大きく成長し、株価上昇や賃金アップにもつながると期待されているのです。さらに海外の投資家が日本企業に投資するケースも多くなり、日本の企業が世界的に強くなるというビジョンたれています。

企業によってはメリットだけではない

法人税率の大幅な引き下げによって、企業が負担する法人税の割合が軽くなり、いいことづくめのような印象も受けます。しかし、実際にこれだけ大幅に法人税率が下がると、国の財源が減少してしまうことは否めません。

これを回避するために、さまざまな税制の見直しが行われています。中小企業などに適用される租税の特別措置の縮小や減価償却について定額法への一本化、繰越欠損金の上限の縮小など、法人税の税率そのもの以外の箇所で制限が増えるのです

減価償却制度の見直し

建物と一体的に整備される付属設備や構築物について定額法が廃止され、定額法のみとなります。

定額法は償却期間にわたり定額であるのに対して、定率法は未償却残高に一定率を乗じて償却率を算定していくため、最初の減価償却額が大きく、徐々に償却額が減少していくことになります。

どちらの方法も総額の減価償却費は同じなのですが、その計上されるタイミングがずれてくることになります。

一般的には定率法のほうが早期に多くの減価償却額を計上できることから、短期的には節税の効果があると考えられます。

この制度を廃止することで、一時的ではありますが、徴収する税額が増加する効果があります。

【関連記事:減価償却は定額法と定率法のどちらがいいの?】

欠損金繰越控除限度額と繰越期間の見直し

平成30年4月1日以後より欠損金の繰越期間が9年から10年へ延長されます。
これは納税者に有利になる制度ですが、繰越控除限度額については、合わせて見直しが行われています。

中小法人は今まで通り所得金額が繰越欠損金の控除限度額となり、変更はありません。

しかし、大企業については、段階的に繰越高度限度額が引き下げられます。

開始事業年度 平成27年4月1日~平成28年3月31日 平成28年4月1日~平成29年3月31日 平成29年4月1日~平成30年3月31日 平成30年4月1日以降
控除限度額 所得金額×65% 所得金額×60% 所得金額×55% 所得金額×50%

 

 

特に今まで税制で特別措置を受けていた中小企業や、赤字を繰り越していた企業などには、法人税の税率縮小はあまり明確な恩恵ではなくなっています。

法人税率は今後も縮小されていく見込みですから、税制は政策により大きく変更されていくと思われます。毎年の税制の変化に対応していく力が重要です。