減価償却は定額法と定率法のどちらがいいの?

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コラム

減価償却は定額法と定率法のどちらがいいの?

固定資産の減価償却の方法とは

会社では、長年にわたって使用する資産である固定資産を持っているものです。この固定資産には実態のある土地や建物、機械などの有形固定資産と、ソフトウェアなど目に見えない無形固定資産があります。

有形固定資産でも無形固定資産でも減価償却により、取得原価を各会計期間に費用配分していくことになります。
無形固定資産については原則として定額法により減価償却しますが、有形固定資産については、資産の区分により複数の減価償却方法から選択することができます。

資産の区分 選択することのできる償却方法
建物 定額法
建物附属設備、構築物 定額法
機械装置、車両運搬具、工具器具備品 定額法または定率法

なお、機械装置、車両運搬具、工具器具備品については、法人は定率法、個人事業主については定額法が原則となります。

 

主な減価償却方法には、以下の2つの方法があります。

定率法

償却の対象となる資産の金額の償却率を毎年一定にするもので、その年ごとに未償却の金額に対して償却率をかけて減価償却費を算出します。そのため、毎年費用として計上する減価償却費は異なるのが特徴です。

定額法

償却の対象となる資産について、毎年一定の金額を償却するものです。資産の金額が耐用年数で割り切れない場合、国税局が定めた償却率を用いて毎年の減価償却費を算出します。毎年変わらない金額が償却されていくことになるのが特徴です。

固定資産の耐用年数について

本来、固定資産の耐用年数は、その業種の特性、使用の状況、経営方針などにより、それぞれの企業で全く違うものになるはずです。減価償却が適正な期間損益計算を行うためのものですので、耐用年数は企業ごとに個別に見積り、減価償却するのが会計としてのあるべき姿だと思います。

しかし、日本の会計実務では、法人税の耐用年数に依存しています。

これは、会計上いくら正しく見積りをしたとしても、税務上の損金算入限度額と異なれば別表調整が必要ですし、見積もりの手間なども考えると与えられた耐用年数に従うのが合理的であると考えたからだと思います。

したがって、多くの中小企業では固定資産の耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に記載されたものから選択しています。
耐用年数が実態と合わないと感じている人がいると思いますが、このような背景があることを理解すれば、納得していただけるのではないかと思います。

定率法と定額法を途中で切り替える

定率法と定額法は、いずれかの方法を選ぶことが可能です。また、会社のキャッシュフローの状態によっては、定率法から定額法に切り替えることで、資金繰りの負担が軽くなることもあります。そのため、切り替える時期などによっては、その事業年度の法人税などの節税につながるのです。

ただし、償却方法の変更は事務作業の煩雑さが伴うというデメリットがあります

また、国際会計基準を採用している会社は、減価償却方法に定額法を利用する企業が多いため、その関連会社などは、親会社の基準に合わせるために、それまで法定償却方法であった定率法から、定額法に変更しているところも多々見受けられます。

定率法と定額法はどちらが得か

定率法と定額法では、どちらのほうが最終的に得になるかというと、多くは定率法であるとされています。定率法のほうが償却期間の前半により多くの減価償却費を計上でき、固定資産にかかった金額を早く回収できるためです。

さらに、年数がたてば固定資産の修繕に費用が必要となりますが、年数がたつと償却費がより少なくなる定率法のほうが、修繕費とのバランスを取りやすくなります。

また、早い段階で利益が出る場合は、定率法により固定資産の償却を早く済ませるほうが有利になるでしょう。減価償却の方法は、会社の経営状況から柔軟に考慮する必要があるといえます。